甦る場面 2 : 275
2月19日(日)晴 退院して546日 / 手術から628日
告知の場面とともに
よく思い出されるのが、
緊急の再手術から1週間あまりのこと。
きっちりと覚醒していないことも多かったにもかかわらず、
記憶としてよく甦る。
多くの不具合の中でも、
とにかく息苦しいことと
再建舌に縫合した血管保護のために頭を動かせないことが
想像を遥かに超えてつらかった。
体がきつかったのは当然だけれど
それ以外に、
頻繁に襲ってくる幻聴、幻視等の幻覚には本当に参った。
昼夜を問わず、
いるはずのない人の話し声や合唱の音。
さらには遠くの方からBGMのような音楽が聞こえたり、
なぜだかサイレンの音がよく聞こえてきた。
視覚では、
いつも徐々に視界に白く薄い霧が立ちこめることから始まり、
やがて壁に掛けてある絵画の中の人物や景色が動き出したり、
壁や天井がぐにゃぐにゃとゆがんで変形していき、
そしてついには回転し始める、
など、、、、。
寝れば寝たで、
身の毛のよだつような悪夢に頻繁に苦しみ、
しかも同じような内容の悪夢が何日も続く。
息苦しさと悪夢でまともに睡眠できず、
寝ることにさえ苦痛と恐怖を覚えた。
おまけに
気管切開して喋れなくて、
意思疎通がうまくできないことから来る
いらだちやストレスにも苦しんだ。
とにかく日にち薬だと自身に言い聞かせて
ひたすら堪え忍んでいたが、
あらゆることにまったく改善される兆しが見えず、
心身共に蓄積していくストレスで
このまま自分は精神を病んでしまうのではないかと
心から恐れ、
出口の見えない苦しみの中で
絶望感にうちひしがれていた。
そんな苦しみが
ようやく改善し始めたのは、
術後10日近く経ってからだった。