tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

運命の時 診断結果 : 10 

1週間後の4月22日、
正式な診断が下される日。
妻とがんセンターへ。


病状がかなり進んでいることは、
これまでの状況から明らかであり、
「余命宣告」
もあり得るかもしれないと覚悟していた。


しかし、女性はやっぱり強い。
がんであることを告げた瞬間にあれだけ取り乱していた彼女が、
泣き明かした翌日からもう既に、
「絶対治そう。私も気持ちを強くもって頑張るから、あなたもがんばろう!」
と力強く励ましてくれるのだ。


気持ちだけではどうにもならない現実もある、
と諦めつつあった一方で、
無理矢理にでも強く明るく前向きに振る舞おうとするその姿に、
深い感謝と、
そして申し訳なさが混じって、
まっすぐに顔を合わせられなかった。



春の暖かい日差しの中を、
ゆっくりと進む。
高速を使わずにあえて下道を行く。
「アヴェ・マリア」
のオムニバス盤の音楽がゆったりと流れる。


今この瞬間が永遠に続けばいいのに、、、、



午後2時からの予約に、ほぼ時間通りに診察室に通される。
すでに椅子が2つ用意されており、
我々夫婦に相対する形で頭頸科部長のM先生と看護師さん。
そしてなぜか我々2人の後ろにもう1人、
看護師さんが立っていた。    


着席してすぐに、M先生から
「悪性腫瘍、舌癌」
であることが冷静に淡々と告げられる。
しかも進行してかなり大きくなっており、
ステージⅣa であるとも。


妻、思わず両手で顔を覆い嗚咽する。
慰めようと妻の背中に自分が手を伸ばしたのとほぼ同時に、
後ろに立つ看護師さんが妻の両肩を抱きかかえ、優しく慰める。


そうか、このためにわざわざもう1人看護師さんがいたのか。
つらい現実を伝えることが多いであろう、
この病院ならではの行き届いた配慮だったのだ。  
ありがたい。


細かい話はあまり頭に入ってこず、
余命宣告も覚悟していただけに「これで終わったかな」
という思いだけが、ぼんやりとした頭の中を駆け巡る。


すまない、妻よ、息子よ、わんこよ



だが、
絶望の淵に追いやられたそんな我々に、
M先生の短いたった一言が
ひと筋の光明を灯すことになる。


ステージⅣaという難しい段階だけれども、
「まだ打つ手はある」 



その一言を聞いた瞬間に、
私たちは顔を見合わせ、
奈落の底から
遙かかなたに希望の光を見たのだった。


   



つらい報告 : 9

自分の中では
覚悟はできていた。
残された日数が、
短い範囲で限定されるのではないかとも。


しかし、今日の診察ではそこまではいかず、
「舌癌」であるこただけがほぼ確定した。
1週間後の22日に、今日行った種々の検査結果をもって、
より明確な、そして厳しい診断が下るのだろうな。
しかも女房が同席した場で。



帰路の車中も「グレゴリオ聖歌」が流れる。
昔からこの音楽を聴くと、
落ち着くというのでもない、
何か諦観したような気持ちになれた。



夕食の準備をしていた妻に、
とりあえず今日の診断結果を短く伝えた。


「がん」と聞いた瞬間、
泣き崩れた。
そして「いつから悪かったのか」
と厳しく私を責めた。



気持ちの準備期間が何ヶ月も、いや何年もあった自分に対して、
女房はきのう、今日突然聞いた話である。
そりゃ驚きもするし、怒りもするし、そして取り乱しもするよなあ。



しばらく泣き続け、
そしていくぶん落ち着いてからこうも言った。
「まだこの歳で、未亡人になるのなんか嫌だわ」






がんセンター初受診 : 8

4月15日 がんセンター初受診。
午後2時からの予約だったけれど、1日年休をもらい仕事は休む。


自宅からほぼ50キロ。
車で下道をいくこと約1時間10分。
地元の総合病院を受診してからちょうど1週間が経過し、
その間に桜はほぼ散りかけ、
道中の葉桜を見るにつけてももの悲しく、
気持ちが深く落ち込む。


市内の病院での「舌に悪いモノができている」という診断に、
納得し、仕方ないなと案外じたばたせずに受け入れられていたはずなのに、
それでも気分の浮き沈みはあって、
情緒不安定。


道中、車の中でずっと聞いていたのは 
“グレゴリオ聖歌”
これから生き死にの場面に直面しようかという人間にとっては、
うってつけの音楽?
でも他の人にはお勧めしない。
ますます気分が潜行すること間違いないですから(笑)。


1時半前にがんセンター到着。
受付を済ませ、頭頸科の診察室の前で待つ。
すでに10人ほどの患者さんがおり、
さすがにどなたも暗く沈痛な面持ちで、
さすががんセンターだな、などと変なところで納得していた。
ちなみに、「トウケイ科」などという診療科があることは、
自分ががんセンターに来ることになって、初めて知った。


予定の2時を30分ほど過ぎた頃、
呼び出しのブザーが突然鳴った時には、
びっくりたまげて腰を浮かしてしまった( ・_・;)。
最近の大きな病院はどこもあんなポケベルみたいなのを使うのかな。


「さあ、いよいよだ」と意を決して診察室へ入ると、
40後半くらいのスマートでいかにも上品そうななM先生と
もう1人その後ろに女の先生が控えていた。



いくつかの問診と口内を視診した後、 
 ・頸部触診 ・鼻からのファイバースコープ ・頸部エコー検査 ・組織採取
と診察は次々と手際よく流れていった。


最後の組織採取は、はさみかメスで切り取るのかな、などど少し緊張したが、
始めに大きめの氷を口に含んで患部に当て(5分くらい)、
感覚を麻痺させてからピンセットのような器具で一気にむしり取る、
といった感じで、一瞬で終わらせていただいたのでそう痛みは感じなかった。


一連の診察の後、M先生から
「腫瘍、舌癌ですね」との診断を受ける。
伝える方も聞く方も余計なことは言わず、淡々とした中でのやりとりが流れた。
「やっぱりな」
というのが最初に来て
「仕方ないな」とも。


その翌日には、
・尿検査 ・血液検査 ・PET-CT ・頸部MRI 等の検査が次々と続き、
そのあまりのスピード感に驚き、
いろいろと考える暇がなくて却ってよかったが、
あとになって思ったのだけれど、
自分の舌が、それだけ急がなくてはならない切迫した状態だったのだ。


検査をすべて終えてM先生から、
1週間後の22日に家族の人と来るように言われる。


すべて終了して会計を済ませると6時近くで、
心身共に
深くくたくたになっていた。



これから帰宅して、
病院へ行って診察を受けたりするよりも、
もっと大変な気の重い仕事が待っている。
女房に、
今日の診察の結果を伝えないといけないのだ。
ただ、「申し訳ないな」
という思いしかなかった。