tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

田植えの頃 : 1051

6月13日(火)曇 退院して2868日 / 手術から2950日


いかにも梅雨らしい不順な天気が続いているが、
昨日今日のように雨降らず曇天で蒸し暑いだけの梅雨は、
陰気臭くて不快なだけでどうもいけない。


降り続く慈雨、時に梅雨寒。
田んぼを吹き渡る風に雨蛙の鳴き声。
雨に濡れる紫陽花。
そして遠雷。
それらは、田舎に住む者にとって昔から変わらぬ原風景だ。
今年もその大好きな情景が目の前に広がろうとしている。



山中での観光施設の仕事に就いて、
ようやく1ヶ月が過ぎどうにか慣れてきた。
遠く全国からの訪問者との触れ合いも、
一期一会の出会いと捉えて互いのよき思い出としたい。


それにしても、
仕事には慣れつつあるが、
時折出くわすマムシだけにはこれからも到底慣れそうもない。
先週も草の生えた遊歩道を歩いていて
気づかずに踏みそうになって寸前のところで飛び退いた。


まあ、そういう意味ではスリリングな職場で刺激的ではあるけれど。


人生最後の : 1050

5月9日(火)晴 退院して2837日 / 手術から2919日


五月病などとはまったく無縁の環境で
とぼけた顔して日々呑気に過ごしているが、
それでも先のゴールデンウィークの後、
なんとなく憂鬱で気分が優れない、というか優れない気がする。
長年働いてきて、その頃の生体反応とかバイオリズムといったようなものが、
今も尚、体内でくすぶっているのかもしれない。


定年退職してから、
断続的にいくつかパートやアルバイトで糊口を凌いできたが、
昨年12月から今日までの約5ヶ月余りは、
「毎日が日曜」の申し訳ないくらいお気楽な毎日を過ごしてきた。
けれどそういう日々も、
もうそろそろいいかなと思う。


有り体に言えば、
無為無策にすごしていては、
ごはんが美味しくない。お酒も美味しくない。
精神的にも、スパイスが必要だ。
そしてこの歳で恥ずかしいことに、
「物欲の嵐」がいまだ吹き止む気配がないのが情けない。



あさって、木曜が初出勤。
山中に4,50分、分け入った所にある観光施設の管理人の仕事だ。
人里離れて自然に囲まれたところでの仕事は、
精神衛生上たいへん好ましかろう。
いくつまで働くことになるか未定だが、
おそらく、我が人生最後のお仕事になると思う。


汗水流して労働した後のビールは、
体が打ち震えるほど美味しかろう。
そんなことも喜びとして、精一杯励んでみる。


So far, so good. : 1049

4月28日(金)晴 退院して2826日 / 手術から2908日


遠く山々の緑が目に清々しくも美しい。
 ふるさとの
 山に向ひて
 言うことなし
 ふるさとの山は
 ありがたきかな
啄木のこの歌が自然と思い起こされるのは、
いつもこの時期だ。


うっすらと霞む山々に時折目を遣りながら、
庭のヤマモモと柊、そして背が高くなりすぎたユーカリの枝を
汗をかきながら切り落とす。



術後8年が経過。
おかげで、大病を得て失ったものを思うことも少なくなってきた。
だがそれと同時に、
失ったことで見えかけていた大切なことさえも忘れがちになっている。
駄目だなあ、それでは。


日々繰り返される当たり前の生活の中に、
あふれかえっているであろう小さな幸せに、
気づける自分でいられるよう。



失ったものは大きかったけれど、
我が人生、
So far, so good.


酒がうまい。