tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

もうひとつの形見 : 999

7月18日 (日)雨   退院して2158日 / 手術から2240日


書斎の書棚を見る度に目が行く本がある。
「チョウのいる丘」
という児童図書だ。
とうに廃版となっており、
調べてみると、1968年 昭和43年に講談社から出版されている。


自分を、読書の世界へと導くきっかけとなった
忘れられない一冊だ。

                                 

主人公は被爆2世の少女。
元気で活動的な女の子が、突然白血病を発症してしまう。
何という理不尽さ。


記憶が正しければ、読んだのは確か小学6年生の時。
原爆というものの恐怖と、
そして世代を超えた罪深さを感じずにはいられなかった。


病状が進んでいく女の子とその周囲の人たちの悲しみを思い、
涙しながら読んだ。
後書きで、実話であるということを知り、更に泣いた。



この図書は、実は自分のものではなく、友人から借りたものだった。
それまで漫画以外の本を読むという習慣のなかった自分が、
どういう経緯で借りてまで読もうということになったのか、
何しろ半世紀も前のことなので記憶にない。




その友は、
30年ほど前に、あまりにも突然に若くして死んでしまった。


「チョウのいる丘」を借りてしばらくしてから、
一度だけその友から返してくれと催促があった。
だが、なぜか返せずじまいでずっと自分が持ったままで、
友の死以後もずっと自分の書棚に収まったままだ。


友の葬儀後しばらくしてから、
悲しみにうちひしがれたご両親から形見分けとして、
彼のお気に入りであったペイズリーのネクタイと
写真に関する雑誌の2つをいただいた。


そして「チョウのいる丘」
だから友の形見分けの品は、
3つあることになる。



もう今となっては友も、
半世紀前の私の不義理を、
笑いながら許してくれているに違いない。


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