今日も ああ無常 : 1018
4月17日(日)晴 退院して2451日 / 手術から2533日
また少し寒の戻り。
いちどは溶けていたのに、
高い峰々はまた白いものをまとっている。
先日夕刻前から
隣の市の牡丹で有名なお寺を訪れた。
ここ数年、毎年日の入り前の時間を見計らって来ているのだけれど、
今年は残念なことに例年に比べ開花が早く、
既にその盛りは過ぎてしまっていた。
さらに、雨に弱い花故、
一昨日まで2日ほど降り続いたせいでやや色落ちしているとのこと。
ご住職夫妻はご高齢で、
最近体調もすぐれぬとのこと。
牡丹の世話をするのも今年が最後、
来年来られても、もう私はこの世にはおらぬかもしれんよと、
冗談とも取れぬその淡々とした語りに、
ご住職の寂しい覚悟を感じ、
この世の無常を強く思う。
跡継ぎもおらず檀家も持たぬお寺故、
今後この牡丹はどうなるのか気に掛かる。
自治会やボランティアの力を借りてでも、
これからもその優美な大輪を目にしたいと願うのだけれど。
自分以外に人気のない境内に提灯の明かりがともる。
少しさびしい心持ちでぼんやりと電灯に照らされた牡丹を眺めていると、
「花を切ってあげるから、持ち帰って牡丹風呂に入りなさい」
とご住職が杖をつきながら危なかしい足取りで牡丹を切り取り始める。
そんなご住職の好意に触れながら、
鴨長明の随筆「方丈記」の冒頭部分が脳裏をよぎる。
移りゆくことのはかなさ。
変わらないものなどこの世に何一つなく、
そしてやがて消えていく。
今日も、
ああ無常。