tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

今日も ああ無常 : 1018

4月17日(日)晴 退院して2451日 / 手術から2533日


また少し寒の戻り。
いちどは溶けていたのに、
高い峰々はまた白いものをまとっている。


先日夕刻前から
隣の市の牡丹で有名なお寺を訪れた。
ここ数年、毎年日の入り前の時間を見計らって来ているのだけれど、
今年は残念なことに例年に比べ開花が早く、
既にその盛りは過ぎてしまっていた。
さらに、雨に弱い花故、
一昨日まで2日ほど降り続いたせいでやや色落ちしているとのこと。


                             

        


ご住職夫妻はご高齢で、
最近体調もすぐれぬとのこと。
牡丹の世話をするのも今年が最後、
来年来られても、もう私はこの世にはおらぬかもしれんよと、
冗談とも取れぬその淡々とした語りに、
ご住職の寂しい覚悟を感じ、
この世の無常を強く思う。


跡継ぎもおらず檀家も持たぬお寺故、
今後この牡丹はどうなるのか気に掛かる。
自治会やボランティアの力を借りてでも、
これからもその優美な大輪を目にしたいと願うのだけれど。



自分以外に人気のない境内に提灯の明かりがともる。
少しさびしい心持ちでぼんやりと電灯に照らされた牡丹を眺めていると、
「花を切ってあげるから、持ち帰って牡丹風呂に入りなさい」
とご住職が杖をつきながら危なかしい足取りで牡丹を切り取り始める。


そんなご住職の好意に触れながら、
鴨長明の随筆「方丈記」の冒頭部分が脳裏をよぎる。


移りゆくことのはかなさ。
変わらないものなどこの世に何一つなく、
そしてやがて消えていく。


今日も、
ああ無常。


                                           

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