tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

終盤戦にこそ : 837

6月19日(水)晴  退院して1398日 / 手術から1480日


花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。
雨に対ひて月を恋ひ、たれこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。
咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見どころ多けれ。


(桜は満開の花盛りを、月は曇りのない澄み渡った月だけを見て楽しむものだろうか。
 雨が降る中で月を恋慕い、簾を垂れた部屋にこもって春が暮れてゆくのを知らずにいるのも、
   やはり情趣の深いものだ。
   今にも花が咲きそうな頃合いの梢や、花が散りしおれている庭などの方が、見る価値が多い)



過ぎ去ってしまったことや未完で終わったこと、
変化してしまったこと、はかなく潰えたこと。
不完全なものにこそ美を見い出す。
これこそが、『徒然草』の美学であり底流を貫いている思想だ。


「散りしをれたる庭などこそ見どころ多けれ」
そう言えば、肉だって、腐る手前がいちばん美味しいと言うではないか。
だとするならば、
不完全だらけの我が人生の終盤戦にこそ、
見どころ多く生きるに値する面白みが多いということか。


兼好法師が言うのだからきっとそうなのだろう。
俄然、迫り来る我が老境への期待感が高まってくるではないですか!


                      

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