tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

見果てぬ夢 : 1043

2月19日(土)雨 退院して2758日 / 手術から2840日


夜半から降り始めた雨がまだ降り続いている。
昼には止む予報だけれど、全くそんな気配が感じられない。
しとしとと降り続く冬の雨は、
身にも心にも寒々と感じられて、寂寥感が募る。



先週、1週間ほどの九州一人旅を終えて戻ってきた。


平戸や天草で訪れた教会では、幸運にも観光客はほとんどおらず、
ひとり佇み静謐で神聖な空間に身を置くことが出来た。
たまたま立ち会えたある教会の朝の礼拝での賛美歌に、
信者の人たちの敬虔な思いやこの地での弾圧の歴史になどに思いが至り、
心が打ち震えるような思いがした。


佐世保や天草の海岸線から眺める東シナ海の夕景は、
感動とともに、旅情と孤独感をかき立てるのに余りある美しさだった。
そして大自然はかくも壮大でかつ恐怖するものでもあった。


知覧特攻平和会館。
海の藻屑と消えた数多くの若者達の笑顔を見ているうちに、
いたたまれなくなり、胸が苦しくなった。
ここ知覧、広島と長崎、そして沖縄。
全ての人間がいちどは訪れるべき大切な場所だ。


大きな神社もいくつか参詣したが、
そういうところは観光客も多く、
自分の思い描く旅には馴染まないことを痛感する。


人生最大の喜びの一つである地方の町での居酒屋巡り。
天草、鹿児島、宮崎の夜にそれぞれ美味い酒を吞ませていただいた。
孤独と漂泊を気取った一人旅ではあるけれど、
一期一会であるが故に、
やっぱり人との触れ合いが尊くて嬉しいね。


旅の最終日に訪れた宮崎県日向市の海沿いの町、美々津。
「みみつ」という地名さえも美しく耳に優しく響く。
かつて江戸から明治時代に全盛を極め、
日向の国と京阪神との経済、文化交流の拠点であったという。
日が傾きかけた格子戸や白壁のある古い町並みをそぞろ歩く。
途中見かけた観光客は自分以外にたった2人だけ。
元気に鬼ごっこしていた子らが、追い抜きざまに大きな声で挨拶をしてくれる。
ああ、これが自分が追い求める旅の理想型か。
ノスタルジックで、ゆったりとした感触を与えてくれるもの。
旅への確信を得た思いがする。



総走行距離約2千キロ。
まだ旅の後の府抜けのような状態だが、
その一方ではや次の旅へとはやる気持ちがある。


中島みゆきさんの “ヘッドライト・テールライト” の旋律が流れる。
  
  行く先を照らすのは
  まだ咲かぬ見果てぬ夢
  遙か後ろを照らすのは
  あどけない夢
  ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない


  

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