ワンセット : 673
7月27日(金)晴 退院して1070日 / 手術から1152日
今でこそその量はかなり減ったが、
若いときからけっこうな読書好きだった。
敬愛する椎名誠さんの著作だけでも、少なくとも170冊はあるだろう。
今まで読んだ中で、
その冒頭部分に囚われていつまでも忘れられないものがいくつかある。
その中でも特に印象深いのが、
「木曽路はすべて山の中である。
あるところは岨(ソバ)づたいに行く崖の道でり、
あるところは数十間の深さに臨む木曽川の岸であり、
あるところは山の尾をめぐる谷の入り口である。
一筋の街道はこの深い森林地帯を貫いていた。」
島崎藤村の『夜明け前』の冒頭部分 だ。
特に最初の「木曽路はすべて山の中である」の部分はどうだ。
初めて読んだのは高校生の時だった。
大学生の時には『夜明け前』の文庫本を携えて、
親友3人とその舞台となった中山道、馬龍に投宿したことも
今では懐かしい遙か昔の想い出だ。
そしてそのうちのひとりは
その約10年後にまったくの突然に若くして逝ってしまった。
日本アルプスを深く刻みながら南に流れる木曽川流域の情景と
夜明け前の冒頭部分。
自分の中では絶対的なワンセットとして切り離せないでいる。
そのイメージはこれからもずっと続くのだろうな。