甦る場面 1 : 273
2月16日(木)晴 退院して543日 / 手術から625日
すっかり元気になった今でも、
入院の前や入院中のつらく苦しかったことが
よく脳裏に浮かぶ。
いや、
元気になったからこそ
かえって頻繁に思い出されるのか、、、。
熱いものが頬を伝いそうになるほど
うれしかったこともあるのだけれど、
つらかったことの方が圧倒的に多かったから
どうしてもそっちの方が蘇ることが多い。
まずは
がんセンターを初めて受診して
さらにその1週間後の診察の
告知の場面。
妻と並んで椅子に座ってすぐに
余計な前ふりなどいっさいなく、
主治医から
「悪性腫瘍
舌癌
、、、、、ステージ4 です」
と感情を含まない冷静な声で
診断結果が伝えられる。
その瞬間に、
妻が
顔を両手で覆い
小さく嗚咽の声を洩らす。
なぐさめようと
妻の背中へ右手を伸ばそうとしたのとほぼ同時に、
我々の後ろに立っていた看護師さんが
うしろから妻を両手で抱きかかえた。
今となっては、
薄いベールに包まれたような
少しずつ遠ざかる記憶、、、、