四度目の薄桃 : 805
4月5日(金)晴後曇 退院して1323日 / 手術から1405日
終日西風強く、
間もなくその盛りを迎えようとしている薄桃の花びらが
激しく舞い散る。
術後4度目のこの季節を、
何事もなく迎えることができた。
4年前のこの頃、
総合病院の口腔外科を「ある覚悟」をもって受診した。
もう来年の桜はないのだろうなと、
途中、満開の桜の下に車を停め、ぼんやりとたたずんだ。
その時の車中も確か、グレゴリオ聖歌が流れていたはずだ、
その数日前には、
今生最後の贅沢を味わおうと
とびきり上等な鮨屋のカウンターに座り、
日本酒と寿司で「最後の晩餐」を気取った。
だが実際は、その頃はもう舌が痛くて食事がままならなくなっていた。
初診の口腔外科の医師が口内を診てすぐに発した言葉、
「舌に悪いものができています」
は予想通りで、自分の中では既定事実そのものであった。
がんセンターへの紹介状を書きますねという
淡々とした医師の言葉が
どこか遠くから聞こえてくる意味のなさない音の羅列のようで、
置かれた状況が何か自分とは無関係のようで、、、。
そのひと月半後に2度、立て続けに大きな手術を受け、
そしていろいろあっての4年後の今。
風に舞う薄桃の花びらを、
元気に眺めていますよ。
ありがとうございます。