顔施 : 814
4月29日(月)曇後雨 退院して1347日 / 手術から1429日
昼過ぎてから、
しとしととやわらかく静かに降り続いている。
春の雨。
薄暗い和室で横になり、
樹木希林さんの本を読んでいる。
内容もだが何より、
表紙と背表紙の希林さんの写真に、
何度も見入っている。
美しいとかそんなことではなく、
ただ魅せられている。
なんとも穏やかでいい笑顔だ。
見ているこちらまで魂の安逸を得られそうなお顔。
そんなことを思いながら読み進めていると、
本文中に希林さん自身がこの写真を初めて見たときに
いい笑顔の写真だなあと思い、
さらには
『仏教用語で「顔施」という言葉があると思うんですが、
この顔を見たときに、フッと人が何かを感じるのであれば、
人に何かを施したことになるだろうと』
と仰っている。
まさに私は今日、
希林さんの写真から「顔施」をいただいたのだ。