tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

いよいよ手術 : 15

2015年5月26日


ついに手術当日。
9時からの開始で、15~20時間の予定。
心臓移植でもそんなに時間かからんのでは?などと思うが、
とにかく簡単な手術ではないのだろう。
なにしろ、頭頸科、形成外科、歯科合同の「拡大手術」というくらいだから。



6時起床。
すぐに病室のある7階通路の窓から景色を眺める。
いいお天気になりそうだ。


              


そんなに緊張感はなかったが、
術後はまともな会話や食事ができない体になるのかと思うと、
それなりの感慨はある。
「ああ、この先、どんな人生が待ち受けているんだろう、、、」 
でも、とにかくこの手術を乗り切ってからだな
いろいろ悩んだり考えたりするのは。



ストレッチャーから思いのほか狭い手術台に移されると、
体の上にはあの手術用ライト。
皆さんよく言われるように、ほんとドラマのよう。


手の甲からの何かの注射がけっこう痛かったのは覚えているが、
意識がなくなるのに3秒もかからなかったと思う。
次に目覚めたのは、
20数時間後のICUのベッドの上。


生まれて初めての手術。
それも大手術。
しかし恐れるに足りんかった。
寝とったら済んだ。


でも、先生方、看護師さんたち、
本当に大変だったろうな。
ありがとうございます。

手術前日 : 14

2015年5月25日


 4/22    告知
 4/24    入院
 4/28    胃ろう造設
 5/10~16 一時退院
 5/17    再入院 


というような流れで日が過ぎ、いよいよ明日(5 /26)が手術。
大きな緊張感はあるが、
手術すれば現在の苦しい状態よりは楽になるかもしれないという
期待感の方が大きい。


4月22日に告知を受けてからも、
舌の腫瘍がどんどん大きく成長しているような状態で、
ますます会話もつらくなっていた。


それと毎日3度の食事が苦痛そのもので、
お医者さんから
「無理してでも食べて、手術に向けて体力をつけるように」
とたびたび言われていたので頑張って口に運んだ。


また、痛みが四六時中感じられるようにもなっており、
薬剤科の先生に相談して、カロナールを1日4回、
そしてトラマールをレスキューとして2,3回服用していた。  


前後するが、
手術に先立つ5月19日の夕方、手術に関する詳しい説明があった。
面談室という部屋に妻と2人通され、
関係する医師や看護師が勢揃いしていたのには、恐縮し、驚いた。
頭頸科3人、形成外科2人、歯科1人、そして看護師さんが2人ほど。


手術、予想される合併症、術後に起きるであろう不具合等、
時間にして30分ほどだったように記憶しているが、
あまりに多くのことがあり夫婦共々飽和状態になりかけた頭で、
これは大変なことになりそうだなとぼんやりと考えていた。


以下手術の概要
頭頸科 / 形成外科 / 歯科 による拡大手術で15~20時間の予定 
術後2日間ICU
・舌亜全摘(可動域全摘、舌根4/5摘出 全摘に近い)
・左中咽頭切除
・左口腔底と歯肉切除および左下数本抜歯
・喉頭つり上げ術
・腹直筋皮弁による再建術
・両側頸部郭清術
・気管切開
※下顎骨切除をするかどうかは術中所見で決める



妻が帰って1人になると、
さすがにいろいろと考えてしまって心細い。
いちばん心配したのは、病巣部以外に癌がひろがっていること。
更に、下顎骨切除によって顔の形が変形することで、
どうか術中所見がいいものでありますように。


夜になって
看護師さんが安定剤を飲むかどうか聞いてくれたが、飲まずに過ごす。


自分の写真を数枚撮影する。
午前中に病院の散髪屋さんへ行き、
頸部郭清術の邪魔にならないように指定通り耳の周辺を大きく刈り込んでおり、
おもしろい髪型をして、
笑いが少しひきつっている。


昔から自分の声は嫌いだったけれど、
そんな声でも今夜が最後かと思うと愛おしく、
スマートフォンで自分の声を録音した。
「さようなら ありがとう がんばるか」


      

胃ろう造設 : 13

2015年4月28日


入院から4日経過し、胃ろう造設の日。


手術室ではなく内視鏡検査室で行い、
所要時間は約1時間。
手術ほど大げさなものではないけれど、
それでもお腹に胃まで通じる穴を開けるのだから緊張する。


午後2時始まりで、
Tシャツにハーフパンツという
まったく普段のままの格好で歩いて内視鏡室へ。
検査室へ入ってすぐに寝台に横になるが、
一部始終をあまり見たくないのでずっと目を閉じていた。


まずは、内視鏡を口から胃まで挿入するが(この歳で内視鏡初体験)
少しえずいたが難なくクリア。
そして内視鏡からだと思うが、お腹に空気を入れて膨らます。
それから「今から麻酔をしますね」と言われたので身構えたが、
痛みがないし、目をつぶっているしで、
どこからどのように麻酔したのかわからず。
で、最後に腰が持ち上がりそうになるくらいお腹の上から引っ張られたが、
唯一この時だけ
一瞬けっこうな痛みを感じた。


そのあと5,6分お腹のあたりでごぞごぞと。


以上で胃ろう造設術は終了。
時間にして40分くらいだったか。
思っていたほどの苦痛なく、よかったよかった。



「胃ろう」というとほとんどの人は、
あまりよいイメージを持たれていないだろうと思う。
体力的に弱り切り、口から食べられなくなったお年寄りに対する
生命維持の手段くらいにしか。
実際私もそうだった。


治療説明の時に、
主治医の先生に「胃ろう」はしないといけませんか? 
とたずねたほどで、
その時のM先生の返事は
「胃ろうはマストです」ときっちりしたものだった。


当がんセンターでは、
鼻チューブではなく胃ろうを推奨して行っているとのことで、


鼻チューブより、1 衛生的で感染症が少ない
        2 装着時の苦痛と不愉快感が圧倒的に軽い
        3 効率的に栄養を供給できる
        4 抜いたり抜けてしまったりの事故がほとんどない 
        5 嚥下や発話のリハビリがしやすい
など、いいことずくめらしい。
実際、いろんな方のブログで、鼻チューブの苦しさについての記述があったので納得。



術後は頭頸科の看護師さんが迎えに来てくれて、
これも人生初の車いすで病室に帰還。
その日は麻酔がきれてから多少は痛んだけれど、
痛み止めももらわずに過ごせた。


その後数日間は、
特に寝ている状態から起き上がる時など、
腹筋を使うときに痛んだが、たいしたことなく経過し、
何より問題なのは次の2点だった。
・おへその横に
 直径1㎝ほどのケチャップ容器のふた状のものが突然できたことを、
 気持ち的に受け入れること。    
・胃ろうの穴のメインテナンスのために、
 1日3回ほどそのケチャップ容器の先状のものを、
 くるくる回したり引っ張ったりしないといけない。
 (最初の数日は痛くてこわかったので、看護師さんにやってもらったりした)



こうして5月26日の大手術に向けて
準備が着々と進められていくのだった。