tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

おもしろうてやがて、、、 : 532

1月18日(木)   曇 退院して880日 / 手術から962日


BSで「寺内貫太郎一家」が放映されているの知り
そのあまりのなつかしさに腰を据えてじっくりと見た。
その昔
大好きで欠かさず見たもんだ。



古きよき時代のカミナリ親父を中心とする一家や、
彼らを取り巻く隣人たちとのふれあいを描いたホームコメディだ。


お決まりの会話が飛び交うユーモアたっぷりの食事シーンや、
貫太郎と長男(西城秀樹)との大喧嘩、
婆さん(悠木千帆)が沢田研二のポスターを見て身悶えしながら
「ジュ〜リ〜」なんて叫んでたな。


浅田美代子の下手くそな歌さえも懐かしい。



実際に放送されていたのは1974~75年とあるから、
もう40年以上も前になるのか、、、。
その頃の自分はどんなだったか。


 小林亜星 加藤治子 悠木千帆 梶芽衣子 西城秀樹   浅田美代子
   左とん平    由利轍       伴淳三郎


皆さんテレビ画面の中で若いな。
だが今となっては、
脚本を書いた向田邦子さんを始めとして
既に鬼籍に入られた俳優さんも多い。


見てるうちに
悲しくなってきた。


おもしろうて
やがて悲しき。

あと2日 : 531

1月17日(水)   雨 退院して879日 / 手術から961日


終日雨。
気温はこの時期のそれにしては高く、
湿った少し生ぬるい空気が肌にまとわりつく。



昨日の
「忘れえぬ光景」と題したブログ、
以前にも似たような内容でアップしていたようだ。
500回も回を重ねていると、そういうこともあり得るな。
気をつけよう。



今度の土曜、
外飲みが決まった。
できて数か月の初めての店だが、評判がいいようだ。


買ったばかりのフルサイズの一眼レフを、
大げさで荷物にもなるが持ち出そう。
自慢の高感度性能を生かして、
場末の飲み屋街をふらふらと
夜の艶めかしい風情なども切り取れたらいいな。


                                      


            


    


そんなことも励みに、
あと2日を乗り切る。

忘れ得ぬ光景 : 530

1月16日(火)   晴 退院して878日 / 手術から960日


この病にまつわることで
絶対に忘れ得ぬ光景がいくつかある。



そのひとつが、
「家族の人と来て下さい」と言われ
妻と2人で訪れたがんセンター。


主治医と相対する格好で
丸椅子にふたり並んで座った頭頸科の診察室。
妻のすぐうしろには看護師さんが立っている。



主治医の口から


悪性腫瘍 
舌がん 
StageⅣ


と3つの単語が余計な言葉を挟むことなく
淡々と順に告げられる。


その3つ目の単語を聞いた瞬間に
前のめりに突っ伏して両手で顔を覆い
軽く嗚咽の声を漏らす妻。


慰めようと妻の腰に手を回そうとするより早く、
うしろに立つ看護師さんが妻を抱きしめるように両手で包み込む。



主治医が再び口を開き始めるまでの
静止したような現実味のない短い時間の中で、
放心した頭の中を
「すてーじ ふぉー」
という言葉が
風に吹かれて転がるようにくるくる回る。


そして
「終わったかな、、、」
とも思った。



それが2年と8ヶ月前、
桜舞い散る頃。