tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

切実に思う秋 : 1055

10月10日(火)曇時々晴 退院して2987日 / 手術から3069日


神無月を迎えた途端すっかり秋めいて、
日差しの強さはまだ残るものの、空高く空気が爽やかだ。
朝晩はめっきりと肌寒く、夏布団の下にタオルケットを重ねる。


彼岸花が儚くもその短い開花の時を終え、
黄金色に色づいた稲穂がたわわに実り、
傍目に見る者さえも心はずむ待ちに待った収穫の日を間もなく迎える。
今朝、一瞬ほのかに甘く金木犀が匂ったと感じたが、気のせいだったか。


老若男女が狂喜乱舞する秋祭りも近い。
五穀豊穣、豊年満作。
一病息災。



人生長く生きていると、
不安 不満 不具合いろいろあるけれど、
取り敢えず、今日も酒が旨い。
日々、そこいらじゅうにたくさん転がっているであろう
小さな幸せに気づけますように。


足るを知りたいと、
切実に思うこの頃。
  

                            

こうしてはいられない : 1054

8月21日(月)晴後曇 退院して2937日 / 手術から3019日


昔はお盆過ぎればてきめんに朝晩涼しくなって、
夕方になると赤とんぼが風に舞い
しみじみと秋の気配を感じたものだが、
近頃はいつまでも酷暑が続く。
風情感じられる昔の季節感などはもう望むべくもないのか、
などと沸騰気味の頭でぼんやり考えていたら、
昨日の夕方、
唐突に秋がやってきた。
日中はまだまだ暴力的な暑さだけれど、
いきなり秋の夕焼けだ。


気づかぬうちに、
自然は確実に移ろいつつあるのだなと、
突然目の前に広がる秋の風景を眺めていたら、
なんだか少しうれしくなった。




涼しくなったら、
また一人旅に出かけようと思う。
琵琶湖周辺の風情あふれる町並みか、
それとも京都北部の少し鄙びた海沿いの町々か。


初めての地を訪れ、
我が人生来し方を眺めたり
そしてこれからについてあれこれ思い描いたりしながら
そぞろ歩いてみたい。
そして夜は当然地元の居酒屋だ。


今そんな欲求に
ふつふつと満たされて、
いてもたってもいられないでいる。


今年もまた : 1053

7月3日(月)曇 退院して2888日 / 手術から2970日


心の原風景ともいうべき美しい情景を、
今年も目の前にしている。


今にも降り出しそうな曇天の下、
田舎に在ることのしあわせを覚えながら
畦道にまんじりと立つ。


水田を吹き渡る風に
田植えされてほどない苗と背後の竹林がいっせいに揺らめく。
少し湿り気を帯びているがひんやりと心地よい。


先日田植えとともに鴨のつがいがやってきて、
ぷかぷかと水面に浮かんでいた。
そのうち数羽の雛もその愛らしい姿を見せてくれるだろう。


水を張ったのどかな田んぼを前景に、
遠く山並みも一雨ごとにその色を濃くしてゆく。
夕刻西からの斜光線を浴びて微かに赤みを帯びて輝く山容は、
もはや神々しい。



都会では失われつつある季節ごとの移り変わりの風情が
ここではふんだんに当たり前のこととして存在している。


田舎にあって、
さらに郷愁を味わうことの贅沢さよ。