八度目の徒名草 : 1047
4月6日(木)曇時々小雨 退院して2804日 / 手術から2886日
桜は哀しくも散り際がいい。
はらはらと舞い散る姿に、短い命のその儚さが際立つ。
桜のいにしえからの異称に、
「徒名草」もしくは「仇名草」というのがあるが、
なんと大和心を揺さぶる言葉だろう。
今がまさに、
「桜吹雪」に「花筏」の頃だ。
桜の頃の変わりやすくすっきりと晴れない様子を「花曇」
そして急に冷え込むのを「花冷え」
花びらを散らしてしまう雨や水に流れていく様は「桜流し」
やがて時が経ち散り残ったものを「残花」と。
更には花見で疲れることは「花疲れ」とも。
桜にまつわる風情ある言葉は、
枚挙にいとまが無い。
全国的に荒れ模様の天候。
どうやら今日明日で桜流しとなりそうだ。
大病を得てのち、八度目の徒名草。
あの時、これが今生最後の桜かと、
病院への道中、大きな桜の木の下に車を止め、
しばしぼんやりと眺めたことなども、
今となっては、
薄桃色に霞む忘れられぬ光景。