人生の損失 : 975
1月11 日 (月) 曇時々晴 退院して1972日 / 手術から2054日
目覚めると、うっすらと雪景色。
瀬戸内の平野部では、
吹雪くことはあっても、積雪することはめったにない。
折からの豪雪で苦労されている地方の方々には申し訳ないが、
穏やかな気候に生きる我々にとっては、
童心くすぐるずっと目にしていたい憧れの景色だ。
だがそれも、
薄日が差したせいで、午前中の早いうちに跡形もなく解けてなくなってしまった。
若い頃、あれほど毛嫌いしていた中島みゆきの歌を、
特に大病を患ってからのち、しみじみと聴き入るようになった。
あの独特の声の出し方が耳障りだった。
けれどそれは、あの情念ほとばしる歌詞に魂を吹き込むための、
不可欠の歌い方だったのだ。
それを悟るのに、とんでもなく長い時間がかかっちまった。
もったいないことをした。
しかし人生には、そんな後悔はつきものだ。
そのときにはその価値やよさが分からずただ毛嫌いし、
後年歳とってから気づくという。
ただ、自分の来し方を思い出してみると
やたらそんなことが多かったように思われてならない。
自身の下手な価値観に固執する故か。
人生も終盤戦。
つまらぬこだわりは封印し、
物事を柔軟に見ていきたいなどと、
初春の抱負。