楽しかったはずなのに : 1035
12月7日(水)晴 退院して2684日 / 手術から2766日
師走を迎えた途端
朝晩の冷え込みがめっきり厳しくなり、
高い山々の中腹あたりにまでうっすらと白いものが降りてきている。
異常気象だなんだと言われるようになって久しいが、
自然の移ろいは確実に我々に季節の移り変わりを教えてくれている。
2020年3月に、35年間勤め上げて定年退職。
その年の年賀の挨拶で、
今回をもって「年賀状じまい」としたい
という一筆をごく一部の親類を除いた人たちに添えた。
一抹のさびしさを感じたのはもちろんだが、
それより、
いきなり礼を失することにならないか。
貴重な人間関係を失ってしまわないだろうか。
誰ともつながりがなくなってしまわないか。
など、散々悩んだ末の決断だった。
それは「終活」と言えるほどの覚悟をもってのことではなく、
定年を機に、昨今流行の言葉で言うなら「断捨離」程度のことだった。
だがそれ以来その決断したことについて、
すっきりしない心持ちが澱のように常に心の片隅で淀んでいる。
やめる、やめないの二択ではなく、
人間関係を整理した上での選択をすべきではなかったか。
いや、大切なのは実態の伴う意味ある人間関係を持つことであり、
年賀状は一つの手段に過ぎない。
だから形だけのやりとりに固執する必要はないのだ。
など、今年も年の瀬を迎えるにあたり思いは更に千々に乱れているが、
人生の終盤戦の入り口に立つ今、
誰とつながっていたいのか、
どんな人間関係を大切にしたいのか、
じっくりと見つめ直すよい機会なのかもしれない。
ああ、それにしても、
送りたい相手にだけ出していた子どもの頃は、
年賀状も純粋に楽しい年中行事のひとつであったはずなのに。
人生という旅路も、
思えば遠くへきたもんだ、と。