精神の寛解 : 746
11月14日(水)曇後晴 退院して1181日 / 手術から1263日
梶井基次郎に
『器楽的幻覚』という短編小説がある。
「休憩の時間を残しながら席に帰った私は、すいた会場のなかに残っている女の人
の顔などをぼんやり見たりしながら、心がやっと少しずつ寛解して来たのを覚え
ていた。しかしやがてベルが鳴り、人びとが席に帰って、元のところへもとの頭
が並んでしまうと、、、」
「寛解」
癌患者にとっては、
憧れの燦然と輝く馴染みのある言葉であるが、
病気以外に用いているのを初めて目にした。
それも文学作品の小説の中で。
自分の場合5年寛解まであと1年と半年余りであるが、
がんという病気は治療により「寛解」はするが「完治」はないとよく言われる。
5年たてば一応の治療効果があったとされるが、
再発や転移の不安は、
5年たったから、10年たったからといってゼロになるわけではない。
さて、自分の場合待ち焦がれたその日を迎えて後、
気持ち的にも
寛解と呼ぶにふさわしい精神的平安を得られるのかどうか。
体だけでなく気持ちの上でも、
寛解したことをふんだんに享受したいもんだわ。