tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

甦る光景 : 865

8月29日(木)曇  退院して1469日 / 手術から1551日


九州北部で大変なことになっている。
毎年毎年、必ずどこかで繰り返される豪雨災害。
慣れてしまうことがいちばんこわいこと。
亜熱帯化した日本、災害はもうどこにでも起こり得るのだ。




4年前、4ヶ月近い入院生活の中で、
いまだに余韻を残すある光景がある。


緊急再手術後の
地獄のようなICUから一般個室に戻ってきて10日目くらいのこと。
歩行器にだらしなくもたれかかりながらふらふらと歩き始めた頃だ。
私の横を、それまであまり馴染みのなかった1人の女性看護師さんがつき添う。
ようやく廊下の突き当たりにたどり着いて苦しい息を整えながら
大きなガラス越しに遠くの山並みなどを雑談を交えながら眺める。
気管切開で喉に穴が開いており、私は話せず筆談だ。


現在の心身のつらさ。
失ったものの大きいこと。
今後の諸々の不安。
そんなことを脈略なくホワイトボードに書き連ねているうちに、
不覚にも、落涙してしまった。
手に持つボードに涙が流れ落ちる。


しまったと思いながら、
首が動かないので体ごとひねって左側を見ると、
なんと彼女も大粒の涙を流して泣いているではないか。
途中から彼女の声が少し上ずっているのは気づいていたが、、、。
経験不足を思わせるような若い看護師さんではなかったはずだ。


看護のプロが、
しかも非常に厳しい状況に接することの多いであろう
がんセンターの看護師が、
一患者の独り言のような弱音を聞いて大泣きすることの是非はさておき、
とにかくそのときの光景が退院してから現在に至るまで、
ことあるごとにたびたび思い出される。


         


あれから4年。
彼女は今も、
先が見えない深い暗闇にいる人たちに真剣に耳を傾け
熱く心を震わせているだろうか。

×

非ログインユーザーとして返信する