過ぎてしまえば : 998
7月12日 (月) 曇 午後一時大雨 退院して2154日 / 手術から2236日
昨日のこと。
朝寝床から這い出してすぐに、南に向いた窓から山を眺めると、
空の青と入道雲。
もうすっかり夏空のよう。
発作的に、山の中へ行こうと思った。
国道から分け入ること20km弱。
標高もかなり稼いでおり、気温も幾分低い。
吹き渡る風が木々の梢をいっせいに震わせ、
水かさを増した間断のない川の流れが耳に心地よい。
ああ、気持ちが安らぐとはこういうことを言うのだと、
その昔小学校であったろう広場のど真ん中に椅子を出して
空と山を飽くことなく眺める。
途中コンビニで買い求めたどうということのない弁当が旨い。
この自然を独り占め。
なんと贅沢な。
だが一方で、
主を失って久しい空き家や
朽ちかけた廃屋がもの悲しい。
商店であったろう空き家も数件。
かつてはそれなりに賑わいもあっただろうに。
諸行無常。
盛者必衰。
退院してからしばらくは、
こういう人気のない場所ばかりに足が向いたものだった。
まるで世捨て人のような心持ちで。
あれから6年。
過ぎてしまえば、
暗澹とした苦しかった日々でさえ
懐かしい。