鐘を打ち鳴らしつつ : 1038
12月22日(木)曇一時晴 退院して2699日 / 手術から2781日
けうもまたこころの鉦を
うち鳴らしうち鳴らしつつあくがれて行く
(今日もまた、巡礼者が鐘を鳴らすように
私も心の鐘を打ち鳴らしながら、あこがれの旅を行く)
若い頃、若山牧水のこの歌に妙に心惹かれたことを記憶している。
そしてこの歳になり先日改めて目にし、
若い頃よりも一層強く惹かれる自分がいることに気づく。
酒と旅を愛し、
人生の悲しさ、寂しさをありのままに晒して歌にした
漂泊の歌人牧水でさえも、
何かに憧れ続けながら旅していたということか。
何かに憧れを抱き続ける情熱は、
老境の入り口にあるが故に更にい思いは強くなり、
今でも決して失ってはいない。
何に対する憧れなのか。
何者に対する憧れなのか。
それさえはっきりとしない茫とした憧れ。
だが、憧れとは
つかめそうでつかめない、
そういうぼやっとしたものなのかもしれない。
これからも
牧水のように、
ナニモノかに憧れを抱き続ける人でありたい思う。