最後の夏 : 864
8月26日(月)曇時々晴 退院して1466日 / 手術から1548日
夏らしくない夏が終わろうとしている。
赤とんぼが秋風に舞い、
白百合が雑草に紛れて咲いている。
そして、
陽が傾くと聞こえ始めるツクツクボウシの鳴き声がもの悲しい。
この夏が、労働の現役として過ごす最後の夏。
来年は大好きな夏をどんな風に過ごしているだろうかと、
すっかり秋めいた空を見上げそよ風に吹かれながら夢想してみるが、
なかなか明確な映像が思い浮かばない。
なにか楽にお金くれるアルバイトはないかな。
せめて酒に本、
それにガソリン代くらいは稼ぎたい。
どっかで世の中とつながっていたいという思いもあるし。
まあ、来年5月末で5年寛解だから、
まずはそこをなんとか越えないとな。
車で数分のお気に入りの場所。
雲間から不意に日が差し始め、高く伸びた竹林の頂だけが輝く。
あわてて焦点距離と露出を選びレンズを向ける。
弱っちい夏の
淡い光は、
シャッターが下りてほどなくして消えてしまった。