８月２９日（木）曇一時雨　 退院して1469日 / 手術から1551日

九州北部が大変なことになっている。
毎年日本のどこかで豪雨災害が起こり、
ほぼ亜熱帯化した日本では、
もうそんなことがどこで発生しても不思議ではないのだな。

4年前に4ヶ月近く入院した中で、
いまだに余韻を残すある光景。

緊急再手術後の、
地獄のICUから一般重症用個室に戻ってきて10日目くらいの頃。
歩行器にもたれかかりながらよろよろと歩く。
傍らにはそれまであまり馴染みのなかった1人の女性看護師さんがつき添う。

ようやくのことで廊下の突き当たりにたどり着き乱れた呼吸を整え、
大きな窓ガラス越しに遠くの山並みなどを眺めながら雑談を交わす。
気管切開で喉に穴が開いており、喋ることができず筆談で。

現在の心身のつらいこと。
失ったものの大きいこと。
これから先の種々の不安など、、、。

と、そのとき不覚にも落涙してしまった。
手に持つボードに涙が流れ落ちる。
呼吸が苦しい。

そのとき何か違和感を覚え
首が曲がらぬので歩行器ごと看護師さんがいる左に体をひねってみると、
なんと彼女も大粒の涙を流して泣いているではないか。

看護のプロとして、
ましてやがんセンターという
非常に困難な状況に多く接するであろう立場にある者として、
一患者の独り言のような弱音を聞いて涙することの是非はともかく、
そのことが今日に至るまでことあるごとに心に浮かぶ
忘れ得ぬ場面のうちのひとつとなっている。

          

あれから4年。
彼女は今も、
先の見えぬ困難に苦悩する人たちに真摯に耳を傾け、
熱い心と奉仕の精神をもって
心に響く慰めの言葉を投げかけているに違いない。