言うことなし : 923
5月21日 (木) 曇時々晴 退院して1735日 / 手術から1817日
山の緑も拙宅の緑も
一雨ごとに深く濃くなってゆく。
毎年春から初夏にかけての
それら緑色の目映い移ろいを目にすると、
田舎に生まれそして今もそこに在ることの幸運を思わずにいられない。
嗚呼、気持ちが落ち着く。
精神がまるで浄化されそうな錯角にさえ陥る。
啄木は「一握の砂」のなかで
「ふるさとの山に向ひて言ふことなし
ふるさとの山はありがたきかな」
と、ふるさと岩手の岩手山を歌ったが、
この歳になって
まさにその心境がしみじみと染み入る。
その日を最大の目標として、
耐え難き耐え、忍び難き忍んできた1825日。
悪いモノを取り去った最初の手術から5年寛解の日まで、
残すところとうとう片手で足りるようになった。
ようやくその日がやって来る。
故郷の山に言うことなし