tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

スポットライト : 1062

1月17日(水)晴 退院して3086日 / 手術から3168日


新年早々から芸能界の方々の訃報が立て続けに届き、
北陸では何千年に1度という大災害。
間髪入れず飛行場ではまるで映画のワンシーンのような惨劇。


どうかこれ以上の悲劇が繰り返されることのない穏やかな年でありますようにと
心から願うしかない。




昨年の木々が美しく色づき始めた頃から、
何に対しても以前のように熱を持って物事に取り組めない、
というどうにもつまらない状況が続いていたが、
ようやく気持ちが上向いてきた気がする。



大病以来8年半もの間、大過なく過ごせていられるではないか。
贅沢は出来ないけれど、欲しいものはある程度手に入れてきた。
小遣い程度の稼ぎにしかならないけれど、
これを人生最後の仕事としてもいいだろうと、
まあ自分なりに納得できるものに就けた。
酒も美味い。



この歳になりつくづく思う。
人生のどこにスポットライトを当てるかによって、
これまで過ごしてきた人生の見え方が違ってくるのだろうなと。


つらかった経験にばかり焦点を当てる人は、
つらい過去の持ち主になるだろうし、


ささやかな幸せに目を留める人は、
幸せな過去の持ち主になるだろう。



できるものならば残された我が人生、
ささやかな喜びや出来事に、
スポットライトを照らすものでありたいとひそやかに願っている。


終盤戦なれど : 1061


12月31日(日)曇時々雨 退院して3069日 / 手術から3151日


暖かい年末だ。
連日日中の気温が15度前後だなんて、
やはり身震いするほどの寒さでないと、
大晦日という雰囲気が希薄だ。



術後8年半が過ぎた。
10月の検診で、
今後PET-CTの必要はないでしょうとの担当医の言葉。
再発転移のおそれのある者でないと、保険適用にならなくなるらしい。
保険適用でも3万数千円かかるが、
それでも年に1度の全身の癌検診になるのなら、
被爆の問題はあるもののずっと受け続けてもいいくらいに思っていたので、
少し残念でもある。



今年6月に一人息子も結婚し、
親としての務めもほぼ終わった。
これからは自分のことだけを考えて生きればよい。
健康面においても、どうにか大過なく過ごせている。
そうなると我が空気頭の中は、
これからの人生終盤戦をいかに面白おかしく過ごそうか、
もうそのことしかない。



既に終盤戦。
されど終盤戦。


1年の最後の夜を
酒食らいながらあれこれ夢想する。


  

「さびしぃーっ」: 1060

11月30日(木)曇 退院して3038日 / 手術から3120日


山中での観光施設の管理の仕事を始めて、はや半年が過ぎた。
北海道から沖縄まで、全国各地からいろんな方々がやってくる。
ただ、老境に差しかかった方々の一人旅は、
一様にどこかさびしげで愁いを帯びている。
それは自分が勝手にそう見ているだけなのか。
ともあれ、半年ほどの間にも、いろんな出会いがあった。


その観光施設も紅葉のシーズンが終わり、
明日から2月末までの3ヶ月間は冬季閉鎖。
そこでの仕事は週に2回のパトロールだけとなる。




ここ最近、いろんな事に対して、
以前ほどの熱を以て望めない自分がいる。


外吞みより家吞みを好むことが多くなった。
寒くなり絶好のシーズン到来なのに、ソロキャンプへ気持ちが向かない。
カメラを持ち出しても、これまで程写欲をそそられない。
一人旅も、オーバーツーリズムの報道などで、すっかりその気が失せた。
バイクも、その250kg超の巨体を、車庫から出すのが億劫だ。



なんだかなぁ。
谷村新司さんが亡くなられてからというもの、
なにやら得体の知れない大きな喪失感と寂しさを覚えていたところに、
11月になって、大学生の時の下宿先輩の訃報。
ひじょうに応えた。
やりきれぬ鬱々たる思い。


冗談でなく、
谷村さんより少し前に鬼籍に入られた財津一郎さんばりに、
「ひじょーにきびしーっ」
と心の底から、大声で連呼したい心境だ。



まあ、そんなこんなを経ながら、
人は徐々に老いてゆくのだろうけれども、
だが一方で、まだこのままではいかんとの思いもある。


人生の先輩方すべてが辿って来た道。


捲土重来。