tongue twister のブログ

平成27年5月26日、舌癌(StageⅣa)の手術(舌亜全摘・両リンパ節郭清・腹直筋皮弁による再建術)を受けました。ところが数日後の6月1日朝の診察で、まったくの突然に緊急再手術決定。なんと、最初の手術20時間、再手術13時間、計33時間(笑)(゜o゜;;

心身共に回復してきた今、それらの日々を振り返り、今度は私が誰かを励ますことができれば、との思いでブログ初挑戦です。 

こうしてはいられない : 1054

8月21日(月)晴後曇 退院して2937日 / 手術から3019日


昔はお盆過ぎればてきめんに朝晩涼しくなって、
夕方になると赤とんぼが風に舞い
しみじみと秋の気配を感じたものだが、
近頃はいつまでも酷暑が続く。
風情感じられる昔の季節感などはもう望むべくもないのか、
などと沸騰気味の頭でぼんやり考えていたら、
昨日の夕方、
唐突に秋がやってきた。
日中はまだまだ暴力的な暑さだけれど、
いきなり秋の夕焼けだ。


気づかぬうちに、
自然は確実に移ろいつつあるのだなと、
突然目の前に広がる秋の風景を眺めていたら、
なんだか少しうれしくなった。




涼しくなったら、
また一人旅に出かけようと思う。
琵琶湖周辺の風情あふれる町並みか、
それとも京都北部の少し鄙びた海沿いの町々か。


初めての地を訪れ、
我が人生来し方を眺めたり
そしてこれからについてあれこれ思い描いたりしながら
そぞろ歩いてみたい。
そして夜は当然地元の居酒屋だ。


今そんな欲求に
ふつふつと満たされて、
いてもたってもいられないでいる。


今年もまた : 1053

7月3日(月)曇 退院して2888日 / 手術から2970日


心の原風景ともいうべき美しい情景を、
今年も目の前にしている。


今にも降り出しそうな曇天の下、
田舎に在ることのしあわせを覚えながら
畦道にまんじりと立つ。


水田を吹き渡る風に
田植えされてほどない苗と背後の竹林がいっせいに揺らめく。
少し湿り気を帯びているがひんやりと心地よい。


先日田植えとともに鴨のつがいがやってきて、
ぷかぷかと水面に浮かんでいた。
そのうち数羽の雛もその愛らしい姿を見せてくれるだろう。


水を張ったのどかな田んぼを前景に、
遠く山並みも一雨ごとにその色を濃くしてゆく。
夕刻西からの斜光線を浴びて微かに赤みを帯びて輝く山容は、
もはや神々しい。



都会では失われつつある季節ごとの移り変わりの風情が
ここではふんだんに当たり前のこととして存在している。


田舎にあって、
さらに郷愁を味わうことの贅沢さよ。


           

見果てぬ夢 : 1052

6月26日(月)曇 退院して2881日 / 手術から2963日


2日経った今も
やや放心気味。



土曜日、ひとり息子の結婚式が広島であった。


両家代表お礼のスピーチ。
「8年前に病を得まして、うまく話せません。どうかお許し下さい」
と最初にお断りしてから話し始める。
列席の方々の見守るような温かいまなざしが嬉しかった。


けれど、酒飲み過ぎて考えてた内容が飛んじまった。
やけくそ気味に即興で、
しどろもどろになりながらも、
気持ちは伝わったかと思う。



これで親として、してやれることはほぼ終えた。
大病の後のおまけの人生も、
ありがたいことに大禍なく8年目。
自身のこれからを、どう面白おかしく過ごしていくか。


中島みゆきさんの「ヘッドライト・テールライト」の歌詞が
脳裏に浮かぶ。


 行く先を照らすのは
 まだ咲かぬ見果てぬ夢
 遙か後ろを照らすのは
 あどけない夢
 ヘッドライト・テールライト 旅はまだ終わらない



終盤戦なれど、
人生まだまだこれから。